睡眠障害治療

睡眠障害とは

睡眠障害とは、睡眠に何かしらの問題がある状態のことです。睡眠は心身の回復・免疫機能の強化などの働きがあるます。睡眠が障害されると日中の活動へ支障をきたし、疲労・倦怠感・日中のパフォーマンスの低下、生活習慣病のリスクの増大など、身体に様々な影響を及ぼします。

睡眠障害の種類

睡眠障害には大きくわけて4つに分類されます。また昨今は、「概日リズム障害(生活リズムの乱れの影響で眠れなくなるタイプ)」も増えてきています。

  • 入眠障害
  • 熟眠障害
  • 早朝覚醒
  • 中途覚醒
  • 入眠障害・・眠りにつくまでに時間がかかるタイプ
  • 熟眠障害・・眠りが浅く、熟眠感がないタイプ
  • 早朝覚醒・・朝早く目覚めてその後眠れないタイプ
  • 中途覚醒・・就寝の途中で必ず起きてしまうタイプ

睡眠障害の原因

睡眠障害の原因は一つではありません。複数の原因が関係していることもあるため、的確な診察・検査と治療が必要になります。

  • 精神的なストレスや不安
  • 身体的な症状(痛みやかゆみなど)
  • 生活リズムの乱れ
  • 生活習慣の乱れ
  • アルコールや薬物の影響
  • 環境の変化
  • 栄養不足や加齢に伴うホルモンの減少
  • 身体的・精神的な疾患

薬に頼らない睡眠治療(睡眠障害治療)

睡眠障害治療

「夜中に目が覚める」「布団に入っても早朝まで眠れない」「寝てもすっきりしない」など、睡眠に関する悩みを抱えている方は多くいらっしゃいます。また一口に「眠れない」といってもその原因は上述の通り様々であるため、当院ではまずは問診や血液検査などで症状を確認させていただき、適切な治療によって改善へ向けてサポートしています。

当院では、予防医療の観点からアプローチした栄養療法・ホルモン療法などを行っております。一般的な睡眠導入剤などの薬を使用せず、生活習慣の改善の指導などを組み合わせて、薬以外の治療法によるケアを中心に行っておりますのでお気軽にご相談ください。(※精神疾患や身体疾患で対応が難しい場合は専門医などにご紹介します)

当院の睡眠障害治療について

睡眠障害と診断された場合、一般的には睡眠薬の処方が最も多い治療法です。睡眠薬は一時的な服用であればもちろん問題がないものですが、長期の服用は身体機能の低下、病気のリスク増加、死亡リスク増加といった影響を与えることがあることは、様々な論文で示されています。また睡眠薬と一部の鎮痛薬は相性がよくなく、併用することでより身体へ悪影響を与えます。
予防医学による治療を行う当院では、睡眠障害において投薬以外の方法による治療を推奨しています。質の良い睡眠を得ることができるよう、生活習慣の改善提案とあわせてホルモン療法やサプリメントの処方、さらに睡眠導入効果が期待できるハーブ(CBD,GABAなど)を配合した商品などを組み合わせることで最適な睡眠障害治療を行っています。

ホルモン療法(メラトニン)

ホルモン療法

メラトニンは、脳の松果体から分泌され、体内時計を調整してくれるホルモンです。 このホルモンには日内変動があり、日中の明るい時にはメラトニンの生成は抑えられ、夜の暗い時には生成量が著しく増えて、眠くなります。そして、眠っている間にさらに分泌量が増え、起きているときの10倍にもなるといわれています。

メラトニンは、成長ホルモンなどの内分泌機能やリンパ球細胞などの免疫機能を促進する作用をし、また、体内の活性酸素を除去する抗酸化作用の働きもしています。 ところが、ストレスや加齢によりメラトニンの分泌量は低下し、睡眠障害を引き起こすといわれています。特に中高年の方の中途・早朝覚醒、入眠障害などは加齢に伴うメラトニンの分泌量低下の影響が考えられます。

また、時差ぼけや不規則な生活リズムの方の睡眠リズムを整えるにも効果的です。 メラトニンには副作用や中毒性がほとんどないといわれており、安全に投与する事が可能です。

栄養療法

栄養療法

良質な睡眠を作るためには、前項で説明したメラトニンというホルモンが重要となります。メラトニンはセロトニンというホルモンから作られます。その原材料となる物質が不足してしまうとこのホルモンが作れなくなります。

これらのホルモンを作るのに必要な栄養素は、タンパク質・ビタミン・ミネラルです。タンパク質はセロトニンの元のなるトリプトファンを生成します。そのためタンパク質が不足してしまうと睡眠に必要なホルモンの生成にも影響します。また、自律神経のバランスを整えるGABAの生成にも影響します。

ビタミンの不足もホルモン生成やGABAの生成に影響していきます。特に、ナイアシン・ビタミンB6がセロトニン・GABAの生成に大きくかかわりますので、ビタミンB群はとても重要な栄養素です。同様にミネラルも大切です。マグネシウム・鉄はセロトニン・メラトニンの生成に大きく影響します。女性の方は鉄不足、日本人全体ではマグネシウム不足が多く、睡眠のも大きく影響していると考えられます。

これらの栄養素を十分に吸収するために大切なのが腸内環境です。腸内環境が乱れてしまうと、前述したタンパク質やミネラルの消化吸収に影響を及ぼします。この他、腸内細菌叢はビタミンB群の生成にも関わります。そのため、睡眠に大切なビタミンB6不足にも影響するのです。また、セロトニンは腸で合成されるため、腸内環境の悪化はセロトニンを十分合成する事ができず、結果的にメラトニンの不足にもつながってしまいます。
どの栄養素が足りないのか、約90項目の採血から分析して、必要な栄養素を補充することで、睡眠障害の改善に役立てることができます。

ハーブ療法

ハーブ療法

ハーブにはリラックス作用や入眠促進作用などが期待できるものがあり、これらを飲み物や食物として活用することも有効です。特に欧米で現在注目されているのがCBD(カンナビジオール)です。大麻(ヘンプ)の種子及び茎から抽出された成分で、大麻として取締対象となる麻の葉、花、根とは異なる部分に存在する、大麻特有の成分になります。この特殊な成分は生理活性物質によって不眠、疼痛、免疫調整作用、抗炎症などに対して効果を持つことが確認されており、薬に頼らない睡眠障害治療として近年世界的に注目を集めています。(WHOでも非中毒性であり、安全かつ副作用がほとんどない成分だと認められています)

【CBDが睡眠に効果的な理由】

①アナンダミドという成分が促進される。

アナンダミドは神経伝達物質の1つで、中枢神経系や末梢神経系に作用することで、」快感や幸福感をもたらす物質です。CBDはこのアナンダミドを促進し、精神の安定をもたらすことができ、睡眠の改善が期待できます。

②セロトニンの働きを促すことでリラックス効果が高まる

セロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれる物質で、アナンダミド同様、幸福感をもたらします。このセロトニンの働きを促進するので、睡眠の改善を促すことができます。

③不眠の原因となる様々な症状の改善に働きかける

人間の身体にはECS(エンドカンナビノイドシステム)いう、心身のバランスを保ち、健康的に過ごすために備わっている機能があります。これは、神経や細胞、分子、酵素からなる複雑なネットワークです。そのシステムは、外部から肉体的ストレスや精神的ストレスを受けた時、体内のバランスを取り戻し、心身の健康状態を調節することで、病気や老化を防ぐ働きをしています。

CBDはこのECSを整える作用があり、身体の多くの不調を整えることができるといわれています。そのため、不眠の原因となる様々な原因にアプローチすることができ、結果的に睡眠の改善に導くことができます。

こんな方におすすめ

  • ・夜にぐっすりと眠れない
  • ・夜に寝ているのに、昼前も眠たい
  • ・就寝中にいびきをかいている
  • ・夜中に目が覚めることが多い
  • ・好きなことをしていても寝てしまうことがある
  • ・朝の寝起きがすっきりしない
  • ・薬に頼らない睡眠治療を行いたい

治療法について

・カウンセリング、採血
睡眠障害治療では、一人ひとりの症状や心身の状態にあわせて最適な処方を行うことが最大のポイントとなるため、事前に 生活習慣や食生活、身体の状態についてなどカウンセリング、診察を行います。

・検査

・処方
検査結果をもとに治療法を決定します。まずは1か月ほど継続していただき、その効果を確認していきます。

・定期的なカウンセリング、診察
その後は定期的に症状や身体の状態を確認するために血液検査や診察を行います。

留意点

施術時間 1回の診察で、1か月分の処方をお渡しさせていただき、ご自宅で服用や塗布していただきます。
回数の目安 3か月ほど継続することを推奨しています。
注意事項 特になし
ダウンタイム 特になし
治療を受けることができない方 妊娠中の方
想定されるリスク・副作用 特になし

(参考)睡眠障害の様々な種類

睡眠障害には、夜になかなか眠れない・寝つきが悪いといった「不眠症」の他に、「過眠症」「概日リズム睡眠障害」「ナルコレプシー」「睡眠時無呼吸症候群」といったものが挙げられます。(精神疾患や身体疾患などで当院での対応が難しい場合は専門医などをご紹介しております)

不眠症

不眠症とは、夜になかなか眠れない(入眠障害)・中途覚醒(就寝後すぐに目が覚める)・早朝覚醒(朝早い時間に目が覚める)・熟眠障害(眠ってもすっきりしない)といった睡眠時に生じる問題が長期にわたり生じ、日中の活動(日常生活・家事・仕事・食事など)に支障が出てくる病気のことを言います。日本では約5人に一人が、このような不眠の症状に悩んでいるというデータもあります。
不眠の症状が生じると、次第に「今日も眠れないのでは」という不安感に繋がり、就寝時に緊張や不安が生じることでますます眠れなくなるという悪循環に陥ることがよくあります。なお不眠の原因は様々で、うつ・不安障害などの精神疾患の他、疼痛や腎疾患、呼吸疾患、高血圧といった身体疾患、さらに睡眠中の異常現象(むずむず脚症候群・周期性四肢運動など)や薬の影響なども考えられます。

【症状】

  • 布団に入っても30分~1時間程度は眠れない
  • 朝目が覚めるまでに夜中に何度も目が覚め、その後はなかなか寝付けない
  • 起きる予定の時間よりも2位間以上早く目が覚めてその後は眠れない
  • 寝ているのに疲れが取れない・熟睡した感じがしない

過眠症

日中に眠気が頻繁に起きる症状です。昼食後に眠くなるケースはよくありますが、打ち合わせをしていたり歩いている時など起きていないといけない時にも眠くなってしまうのが特徴です。後述するナルコレプシーも過眠症の一種です。
過眠症は睡眠の質に問題があるケースが多いです。眠りを妨げるような身体の病気(睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害など)が就寝中に生じていたり、寝室の環境(騒音や温度など)が関係していることもあります。単純に睡眠の時間が少ないことが原因のこともあるため、いずれも診察で生活習慣の見直しなどを行い、治療を行うことになります。

・ナルコレプシー
昼間も眠気が襲ってくるという過眠症の症状とあわせて、睡眠時に金縛りにあったり、入眠時に現実と区別がつかないような夢(入眠時幻覚)をみることがあります。

・月経関連過眠症
月経前後や月経中に眠気が増大する女性は多く、これには女性ホルモンの働きが大きく関係しています。このようなホルモンによる睡眠障害も症状も生活改善や治療によって改善出来ることが多いです。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中にいびきと共に呼吸が10秒程度停止し、その後再びいびきをかく症状を言います。内臓に負担が生じる他、呼吸が止まることで夜間に目が覚めることが増え、不眠症や過眠症のような症状が起きることもあります。睡眠時無呼吸症候群については他の病気との関連性が国内外の論文によって報告されており、未治療の睡眠時無呼吸症候群は、認知症の発症リスクが2.4倍になる(Yaffe K et al. JAMA. 2011;306(6):613-619)他、昨今では新型コロナウイルスに感染するリスクが約8倍、さらに重症化リスクは2倍程度になるといった報告もあります。(Maas MB et al. Sleep Breath. 2020 Sep;29:1-3.)。

※睡眠時無呼吸症候群は男性に多いと言われていますが、女性のいびきについては女性特有の原因があることも多いです。加齢によって舌を支える筋力が低下したり、閉経前後に女性ホルモン(プロゲステロン)の分泌が現象して気道が狭くなることなどが関係していることがあります。更年期障害に起きる倦怠感や頭痛、不眠、発汗といった症状が、実は更年期の影響ではなく睡眠時無呼吸症候群であったというケースもあります。