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見えない炎症はどこから始まるのか?-慢性炎症が老化と病気を加速させる理由

「炎症」と聞くと、多くの方は風邪やケガを思い浮かべるのではないでしょうか。

• のどが腫れる
• 傷口が赤くなる
• 発熱する

これらは体を守るために必要な反応であり、「急性炎症」と呼ばれます。
一方で、近年の予防医療や老化研究で注目されているのが、自覚症状がほとんどないまま長期間続く『慢性炎症』です。
この慢性炎症は、
• 動脈硬化
• 糖尿病
• 認知症
• がん
• サルコペニア
• フレイル
など、多くの疾患と関係していることが分かってきました。

さらに、老化研究ではInflammaging(インフラメイジング:炎症性老化)という言葉が生まれるほど、「老化の土台」として重要視されています。
では、この見えない炎症はどこから始まるのでしょうか。

私が診療で必ずお伝えする「慢性炎症の3つの発生源」

私は診療で患者さんに、
「慢性炎症の主な発生源は、腸・肝臓・口の中です」
とお話ししています。

もちろん、睡眠不足やストレス、喫煙、運動不足なども炎症に影響します。しかし、多くの患者さんを診療してきた経験から、この3つを評価することが慢性炎症を理解するうえで非常に重要だと考えています。

① 腸 ― 全身の炎症の出発点
腸は栄養を吸収するだけの臓器ではありません。
免疫細胞の多くが集まり、外から入ってくる異物を監視している「免疫の最前線」です。
腸内細菌のバランスが乱れたり、腸管バリア機能が低下したりすると、本来は体内に入るべきではない細菌成分や未消化物質が血液中に入り込み、免疫を刺激します。
この状態が長く続くと、全身で慢性的な炎症が起こりやすくなります。
だからこそ、当院では腸内環境を健康の土台として考えています。

② 肝臓 ― 「沈黙の臓器」は炎症のコントロール役
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれます。多少機能が低下しても症状が出にくいため、異常に気づきにくい臓器です。
しかし、肝臓は
• 栄養代謝
• 解毒
• 胆汁の産生
• 炎症性物質の処理
など、生命維持に欠かせない働きを担っています。
現代では、
• 過剰な糖質摂取
• 脂肪肝
• アルコール
• 薬剤
• 睡眠不足
などが肝臓への負担となることがあります。
肝臓が十分に働けなくなると、炎症を適切に処理できず、慢性炎症が持続しやすくなる可能性があります。

③ 口の中 ― 見落とされやすい炎症源
「歯周病は歯の病気」と思われがちですが、実際には全身の健康とも深く関係しています。
歯周病菌や炎症性物質は血流を介して全身へ運ばれ、
• 動脈硬化
• 糖尿病
• 心血管疾患
• 認知機能低下
などとの関連が報告されています。
毎日の歯磨きや歯科での定期的なメンテナンスも、予防医療の重要な一部です。

炎症は「点」ではなく「線」で考える

腸・肝臓・口の中は、それぞれ独立しているわけではありません。
例えば、
• 腸内環境の悪化が肝臓の負担を増やす
• 肝臓の代謝機能低下が炎症を長引かせる
• 慢性炎症が口腔内の状態にも影響する
というように、お互いが影響し合っています。
だからこそ、慢性炎症を改善するためには、一つの臓器だけを見るのではなく、体全体を一つのネットワークとして考えることが重要です。

当院が「原因」を重視する理由

慢性炎症は、痛みや発熱が少ないため、自分では気づきにくい状態です。
そのため、「炎症を抑える薬」を使うだけでは根本的な解決にならないこともあります。
当院では、
• 分子栄養学的血液検査
• 腸内環境検査
• 有機酸検査
• フードアレルギー検査
などを組み合わせ、
「炎症があるか」ではなく、「炎症がどこから始まっているのか」
という視点で評価しています。
原因が分かれば、改善への道筋も見えてきます。

まとめ

慢性炎症は、自覚症状が少ないまま続く「見えない炎症」です。
そして私は、慢性炎症の背景には、
• 腸
• 肝臓
• 口の中
という3つの発生源が重要であると考えています。
もちろん、それぞれの状態は人によって異なります。
だからこそ、体全体を多角的に評価し、「どこから炎症が始まっているのか」を見極めることが、予防医療の第一歩になります。