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細胞が若返る睡眠

突然ですが質問です!

「あなたは昨日7時間以上眠れましたか?」

「今日はすっきり起きられましたか?」

この答えに対して、どちらも「No」という方は
「睡眠負債」がたまっているかもしれません。

残念ながら日本は「睡眠不足大国」と言われるほど
1人あたりの睡眠時間が短いことで有名です。

年々と睡眠時間は減少傾向にあり、
半数の人が1日の睡眠は6時間を切っており世界で3番目に睡眠時間が短く、
特に女性は世界で1番睡眠時間が短いというデータもあります。

中でも睡眠時間が最も短いのが40~50代の女性です。

家事などをしていると
夜遅くになったりして睡眠時間が削れてしまうことが多いようです。

なかなか睡眠時間を確保しにくい時代ではありますが、
「質のいい睡眠」は体にとっていいことだらけです。

例えば

・脳のデトックス
・免疫力アップ
・疲労回復
・アンチエイジング
・精神の安定

など数えたらキリがありません。

人は人生の3分の1は寝ていると言われるほど寝る生き物です。

その3分の1を良質なものにするだけで
人生の幸福度そのものもあげることが期待できます。

今回は「細胞が若返る質の高い睡眠」というテーマでお話しをします。

◆睡眠があなたの美容、健康、パフォーマンスを支える

まずは簡単に睡眠があなたの体に与える影響を解説します。

「寝不足でファンデーションのノリがイマイチ」

「最近寝つきが悪いせいか肌がくすんできた」。

このように睡眠と美容の関係を、
ぼんやりと実感したことがある人は、多いのではないでしょうか。

ヒトはいったい毎日何時間眠れば良いのか?

実はその絶対的な基準はありません。

睡眠は体質や性別、年齢などによって変わってきます。

睡眠をきちんととることができたかどうかは
日中しっかり覚醒して過ごせるかが目安となります。

睡眠不足の蓄積が、癌、糖尿病や高血圧などの
生活習慣病、うつ病や認知症など、さまざまな病気の発症リスクを高めることが、
各方面の研究結果から明らかになってきております。

しかし、単に睡眠時間が長ければ良いというわけでもありません。

「睡眠の質が重要です」

加齢とともに睡眠も浅くなります。

そのため尿意やちょっとした物音などでも
何度も目が覚めてしまうようになります。

若いころの睡眠に比べて
よく眠れなくなったということを経験するかもしれませんが、
実は加齢に伴い体に必要な睡眠が変化してきているのです。

さらに朝が得意か苦手かは体内時計の機能に関連した遺伝子の多様性、
つまり生まれつきの体質であるということが明らかになってきました。  

朝が苦手かどうかについては、
その人のやる気や性格と関連して受け止められがちですが、
性格との関連性は明らかにされていません。

一般的に若い人は朝が苦手ですが、
それが年をとると少しずつ解消されてきます。

これは加齢による睡眠調節の老化が原因であるということもわかってきました。

睡眠負債がたまるともう1つ弊害があります。

それは体内リズムが乱れてしまうことです。

夜更かしや朝寝坊などによって私たちの体内リズムは簡単に乱れてしまいます。

体内リズムが乱れてしまうと寝たいときに眠れなくなったり、
睡眠時間が十分なはずなのに目覚めが悪くなってしまったりと、
良い睡眠が得られにくくなります。

さらに体内リズムの乱れもまた肥満といった生活習慣病や、
日中の疲労感、パフォーマンスにも関わっているということが報告されています。

◆質のいい睡眠を取るためには?

それでは質のいい睡眠を取るために重要なことを解説します。

早速結論からいきますが、質のいい睡眠を取るためには

①睡眠時間

②ホルモン

③栄養

この3つが必要です。

1つずつ解説していきます。

①睡眠時間

睡眠でまず大事なのは睡眠時間をきちんと確保することです。

日中眠くなることが多かったり、休日に昼過ぎまで寝てしまっている場合は、
日ごろ睡眠時間が足りないというサインになります。

知らず知らずのうちに睡眠負債がたまっているのです。

睡眠時間を確保することは私たちの健康にとても重要なことです。

睡眠負債がたまると免疫力が低下して風邪をひきやすくなったり、
高血圧や糖尿病の要因にもなりうることが報告されています

また、睡眠時間は記憶力や感情、パフォーマンスにも
大きな影響をもたらすことも報告されており、
睡眠不足による経済的損失は膨大なものになるといわれています。

必要な睡眠時間を確保することはとても重要なことなのです。

アメリカの100万人規模の調査では
睡眠時間が7時間の人が最も死亡率が低く長寿という結果でした。

短い睡眠が健康にとってハイリスクというのは理解できるかもしれませんが、
8時間を超える睡眠時間の人も死亡リスクが上昇するという結果がでています。

日本でも同様の結果でした。

つまり寝過ぎも体に良くないということですね。

さらに睡眠時間と心臓病の発生率を調べた研究では、
7~8時間睡眠の人が最も心臓病に成りにくいという結果でした。

睡眠時間は肥満にも関係があります。

睡眠不足の時、甘い食べ物やこってりした食べ物が
欲しくなるというような経験はありませんか?

スタンフォード大学の研究で、
睡眠時間が1日7~8時間の人と6時間、9時間の人を比較したところ、
短くても長くても肥満度が上がる、死亡危険率が高まるという結果でした。

睡眠時間が短いと食欲を増進させる「グレリン」を分泌し、
食欲を抑える「レプチン」の分泌が少なくなります。

したがって睡眠時間が短い人の方が食欲が増して肥満となる可能性が高くなります。

これはグレリンが多くなるからです。

高カロリーのものを食べることで満足はするものの、
それが太る原因となっていきます。

このようにダイエットにおいても睡眠不足は大敵です。

体に余分なエネルギーを蓄えないためにも、不摂生は気をつけましょう。

睡眠時間は年齢によっても変わってきます。

高齢者では若い頃にくらべて早寝早起きになります。

これは体内時計の加齢変化によるもので、
睡眠だけではなく、血圧・体温・ホルモン分泌など睡眠を支える
多くの生体機能リズムが前倒しになります。

②ホルモン

睡眠には3つのホルモンが関与しております。

それぞれ役割が違いますがとても重要な働きをしています。

その3つのホルモンとは

【成長ホルモン】
【メラトニン】
【コルチゾール】

▼成長ホルモン

成長ホルモンは、成長期に身長を伸ばし骨格を形成したり、
骨と筋肉を丈夫にしたりします。寝ている間に分泌され、
免疫力を高めたり、脂肪を分解したり、疲労を回復したり、
肌の新陳代謝を活発にし、若さを維持したりといろんなことをしてくれます。

成長ホルモンは、深い睡眠の時に沢山分泌されます。

深い睡眠は、寝ついてから3時間に集中的に現れるので
この時間帯が「美肌のゴールデンタイム」といえます。

成長ホルモンは、日常生活の少しの取り組みで増やすことができます。

おすすめは「軽い運動」です。

私のコラムではたびたび運動の重要性について解説していますが、
睡眠においても運動は重要です。

軽い運動は体に乳酸を作ります。

そして、乳酸が脳のエネルギーとなって脳下垂体を刺激し、
成長ホルモンの分泌を促します。

ゆるめのストレッチや簡単なヨガなどを、決めた時間に適度に行うと効果的です。

また、成長ホルモンは「空腹時」にも分泌されやすい特徴があります。

空腹時に胃や腸などから分泌される
「グレリン(空腹ホルモンとも呼ばれます)」というホルモンは、
強力に成長ホルモンの分泌を促進します。

そのため、食事と食事のあいだには、
きちんと「空腹の時間」を作ることが大事です。

少しお腹が減ったなぁと言って間食をすると、グレリンの分泌は低下します。

食後、最低2時間は食べ物の摂取は控えましょう。

▼メラトニン

メラトニンは体に「夜」が来たことを伝えるホルモンです。

深い眠りを促す働きがあり、免疫力を高める効果もあります。

特にメラトニンには抗酸化作用があり、この効果は絶大とされています。

人間の体も錆びるということはご存知でしょうか?

釘が茶色く錆びるように、
りんごの切り口が茶色くなるように人間の体も「酸化」します。

酸化すると老化、肌荒れ、肌トラブルなどの引き金になることもあります。

加齢によりメラトニンの分泌が減ると抗酸化作用が減ってしまうのです。

メラトニンは朝起きて15時間経ってから分泌がはじまり、
2~3時間後にピークを迎えます。

朝6時に起きたとすると夜11時ごろには、すーっと眠れるようになるという感じです。

ただ、メラトニンは明るい光によって分泌が止まってしまいます。

朝、しっかり太陽の光を浴びることでメラトニンがストップするのは
目が覚めるからいいのですが、夜スマホなどのブルーライトをずっと見ていると
睡眠に悪影響を及ぼしてしまいます。

メラトニンの分泌を良くするには、
朝日を浴び、規則正しい生活を送ること、
就寝前には明るい光を浴びないことが重要です。

最低でも寝る1時間前にはスマホはマナーモードにして机の上におき、
読書やストレッチなどをしてブルーライトなどを見ない様にしましょう。

それだけで寝つきは驚くほど変わります。

▼コルチゾール

コルチゾールはストレスに反応して分泌されるので
ストレスホルモンとも言われます。

血糖値と血圧を上げて起床の準備をする働きがあり、
朝に分泌のピークを迎え、徐々に少なくなります。

朝動けないヒトは朝のコルチゾールの分泌が少ない可能性があります。

逆に夜元気なヒトは夜に沢山のコルチゾールが分泌されている可能性があります。

当然睡眠にも影響を与えます。

他にも炎症を抑えたり、免疫を調節したりしてくれる作用があります。

コルチゾールの分泌を調節するのは難しいので専門家への相談をお勧めします。

目覚ましをセットしても全く起きれない。

大事な用があっても平気で寝坊してしまう。

という方は一度相談をしてみてください。

③栄養

睡眠を助けてくれる栄養素はいくつかあります。

トリプトファン、ビタミンB6、ナイアシン、マグネシウムあたりが
良質な睡眠を送るのに重要です。

アミノ酸のトリプトファンを含む食材は魚・肉・卵・大豆です。

ビタミンB6はまぐろの赤身・かつお・さんま・納豆・バナナなどに含まれます。

ナイアシンは鶏のささみ・落花生・玄米ごはんなどに含まれます。

マグネシウムはナッツ類・ひじき・大豆・納豆・生カキなどに多く含まれます。

これらの栄養素を積極的に取り入れることがポイントです。

そこでおすすめなのが、昔ながらの和食です。

例えば、朝食ですが、玄米ごはん、味噌汁、焼き魚、ぬか漬けなどです。

昔ながらの日本の朝食には、これらの栄養素がバランス良く含まれています。

丼ものやコンビニのおにぎりだけなど炭水化物中心の食生活は控えてください。

いかがでしたか?

日本人の睡眠負債による経済損失はなんと15兆円と言われています。

もし日本人が全員質の高い睡眠をとることができたら、
もっと素晴らしい国になりそうですね。

上記を実践してみてもなかなか体調が良くならないという際には、
お気軽にオンライン診療などでご相談下さい。
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