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コラム

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コロナ後遺症へ対する「幹細胞培養上清液治療(点鼻療法)」の可能性について

ここ数年で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界的に大きな影響を及ぼしました。

感染予防のワクチン開発と同時に、感染時の治療法についても世界各国で様々な治療法が研究・開発されましたが、現在は感染後の「後遺症」に関する報告が増加しています。

増加するコロナ後遺症に対しても対策となる治療法の開発が喫緊の課題となる中で、当院で実施している幹細胞培養上清液点鼻療法を用いたコロナ後遺症治療の効果と可能性について、予防医療の視点から解説します。

幹細胞培養上清液治療(点鼻療法)とは

幹細胞培養上清液は、幹細胞が培養された際に生成される培養液の上澄み部分で、成長因子やサイトカイン、エクソソーム、抗酸化物質などが豊富に含まれています。これらの成分には、細胞の修復や再生、炎症の抑制、免疫調節などに働きかける効果があることが様々な研究で認められています。
幹細胞培養上清液の点鼻療法は、この上清液を点鼻(鼻腔内の粘膜に直接噴霧もしくは滴下する施術)によって体内に取り込むことで、有効成分をダイレクトに体内に届ける治療法です。

点鼻投与と点滴投与の違いについて


幹細胞培養上清液の治療として一般的に行われている点滴投与との違いについて簡単に説明します。
幹細胞培養上清液治療の点滴投与は当院でも多数行っている治療法で、血中に投与することで身体全体の体細胞分化促進、免疫調整、神経細胞修復・再生といった効果が期待できます。そのため点滴療法はコロナウイルスによる各種症状(発熱、疲労感、倦怠感、息苦しさなど)の治療に適していると言えます。

対して血中ではなく鼻腔内に投与する点鼻投与の最大のポイントは、「血液脳関門」という、有効成分を脳内へ浸透させるために必ず通過しなければならない関門をクリアすることができる点です。そのため点鼻療法を行うことで、身体全体への作用はもちろんのこと、脳機能改善・中枢神経系疾患の改善といったコロナ感染後に生じる「頭がぼーっとする」「ゆううつな気分が続く」「やる気が起きない」といった精神的な症状の改善にも適しています。

コロナ後遺症の症状と治療法の現状

もう少し詳しくコロナ後遺症について解説します。「コロナ後遺症」とは、感染後に生じる様々な症状の総称で、具体的には以下のようなものが報告されています。

◎呼吸器症状
咳、痰、息切れ、胸痛など

◎全身症状
倦怠感、関節痛、筋肉痛など

◎精神・神経症状
記憶障害、集中力低下、不眠、頭痛、抑うつなど

◎その他
味覚障害、嗅覚障害、動悸、下痢、腹痛などなど

最も多いのは倦怠感(40%)で、ついで息切れ(36%)、嗅覚障害(24%)、不安(22%)、咳(17%)、味覚障害(16%)、抑うつ(15%)などの症状が報告されています。このような様々なコロナ後遺症の症状の中でも、脳機能や中枢神経に関わる「不安」「抑うつ」などの精神的な面の治療において、幹細胞培養上清液点鼻療法が特に有効であると言えるでしょう。

現在、コロナ後遺症については標準的な治療法は確立されていないため、対症療法やリハビリテーションが主に行われていますが、いずれも完全な回復を達成するのは難しい場合が多いです。

※出典元:千葉県 健康福祉部疾病対策課感染症予防班/新型コロナウイルス感染症療養終了後も続く症状(いわゆる後遺症)について
https://www.pref.chiba.lg.jp/shippei/kansenshou/kouishou.html

コロナ後遺症へ対する幹細胞培養上清点鼻療法の効果

点鼻療法による幹細胞培養上清液治療には、コロナ後遺症治療において以下のような効果が期待されています。

炎症の抑制
上清液中の抗炎症成分が、患者さんの体内で炎症を抑える効果があります。これにより、炎症が原因で引き起こされる後遺症の症状が緩和されることが期待されます。

細胞修復・再生
成長因子やサイトカインが、損傷した細胞の修復や組織の再生を促進します。これにより、機能の低下した肺や心臓などの臓器の回復が期待されます。

免疫調節
上清液中の成分が、免疫システムを調整し、過剰な免疫反応を抑制する効果があります。これにより、自己免疫疾患のような病態を引き起こす後遺症の進行を防ぐことが期待されます。

幹細胞培養上清液治療(点鼻療法)の安全性と実用化への展望

幹細胞培養上清液治療(点鼻療法)は、非侵襲的で比較的安全な治療法ですが、まだ治療効果や長期的な安全性に関する研究が十分ではないため、今後の臨床試験や研究が重要となります。さらなる研究が進めば、幹細胞培養上清液治療(点鼻療法)がコロナ後遺症治療の新たな選択肢として実用化される可能性は多いにあるのではないかと考えています。

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今回は幹細胞培養上清液治療(点鼻療法)によるコロナ後遺症治療の可能性についてまとめました。幹細胞培養上清液治療(点鼻療法)の効果は炎症の抑制、細胞修復・再生、免疫調節など多岐にわたりますが、治療効果や安全性に関する研究・症例数がまだ少ないのが現状です。今後、さらに研究や臨床試験が進むことで、この治療法が実用化される可能性が高まり、コロナ後遺症患者さんにとって有望な選択肢となることを期待します。