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コラム

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血液検査の数値が正常でも、身体の状態は正常とは限らない理由

健康診断や人間ドックの結果を見て
「すべて基準値内でした」と言われると、
ほっとする人は少なくありません。

もちろんそれ自体は良いことです。

病気として治療すべき異常が見つからないという意味では、
医療的にも重要な意義があります。

しかし臨床の現場では、
・数値は正常
・しかし明らかに不調
・生活の質は低下
・年齢の割に老化スピードが速い
という状態の人が多数います。

そして、その時に多くの人が抱く疑問は
とてもシンプルです。
「数値が正常なのに、なぜ不調なのか?」
今日はこの問いを少し掘り下げます。

基準値とは「正常の証明」ではなく「異常のふるい」

ここでまず整理しておきたいのは、
血液検査の基準値(正常範囲)の意味です。

基準値は、
病気や重大な異常をふるい落とすための範囲設定であり、
身体が完全に健康であることを保証するものではありません。

つまり、
異常があるとは言えない
という証明であって、
健康であるという証明ではない
ということです。

制度としてそう設計されているので
医学的には正しいのですが、

多くの人は
「基準値内=健康」
と誤解しやすいのです。

基準値には“幅”があるという現実

次に、基準値にはかなり幅があります。

例えば、
同じ項目でも
・基準値の下限ギリギリ
・基準値の中央
・基準値の上限ギリギリ
は、臨床的には「同じ状態」ではありません。

基準値の幅は
統計的な設定であり、

そこには
・年齢差
・性別差
・体質差
・個体差
が混在しています。

しかし実際の身体は、
下限付近 → エネルギー不足
上限付近 → 負荷が高い、炎症、代謝過剰
など、
状態の違いを反映していることがあります。

それでも、
基準値内という理由で「正常」と処理されることは珍しくありません。

数値は「結果」であって「過程」ではない

血液検査の数値を見ていると
どうしても“結果”に目がいきます。

しかし、身体は常に
・合成
・分解
・修復
・適応
・解毒
・炎症
・回復
といった動的なプロセスを繰り返しています。

数値はその結果として現れた一断面であり、
その背景にある“プロセスの状態”は見えていません。

つまり、
・数値が正常
・しかしプロセスは重い負担
というケースは十分ありえるということです。
臨床で
「不調はあるが、数値だけ正常」
という矛盾が起こる理由はここにあります。

身体は補正しながら生きている

身体は非常に優秀で、
異常が起きてもすぐには数値を乱しません。

代償、適応、補正といったシステムが働き
できるだけ“正常”を保とうとします。

特に、
・自律神経
・ホルモン
・ミトコンドリア
・炎症系
・代謝回路
などは
補正のプロたちです。

しかし、補正には限界があります。

補正が効いているうちは数値は正常。

補正が破綻した時に初めて数値が崩れる。

このタイミング差が、
身体がつらいのに異常値が出ない
という現象を生みます。

予防医療では
この“補正の段階”を見落とさないことが重要になります。

不調の多くは「中間領域」に存在する

健康と病気の間には、
非常に広い“中間領域”が存在します。
・疲れやすい
・回復しない
・頭が働かない
・眠れない
・身体が重い
・気分が安定しない
・免疫が落ちている感覚
・老化が早い
これらはすべて中間領域のサインです。

中間領域では、
・数値はまだ正常
・しかしプロセスは乱れている
・身体感覚は不調
という矛盾が起こります。

そして多くの人は
この段階で受診します。

予防医療は
この領域を扱う医療です。

一度の血液検査では見えないことがある

血液検査はとても有用ですが、
動き続けている身体を
単発のデータで捉えることには限界があります。

例えて言うなら、
・動画の一コマだけ切り取って
・全体のストーリーを推測する
ようなものです。

本来見るべきは、
・変化
・流れ
・パターン
・反応性
といった“時間軸”です。

この考え方を持つと、
「異常なしなのに不調」
という現象は不思議ではなくなります。

数値を補うのが「状態評価」

当院では、数値と同時に
身体の状態そのものを評価することを重視しています。

状態は、
・代謝の偏り
・自律神経の緊張
・炎症の火種
・回復の遅れ
・エネルギーの不足
・適応力の低下
など、多面的です。

どれも血液検査だけでは拾いきれません。

数値は客観性に優れていますが、
状態には“動き”があります。

予防医療では、この両方を見ることで
はじめて全体像が明らかになります。

おわりに:数値だけでは語れない健康の全体像

血液検査の数値が正常であることは、
もちろん安心材料です。

しかし、
それだけで「今の身体」を理解できるわけではありません。

・数値は結果
・状態はプロセス
・不調はサイン
・病名は後半
という流れを理解すると
健康を見る視点が少し変わるはずです。

次回は
「数値ではなく“パターン”を見る医療的意義」
についてお話ししていきます。